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大阪高等裁判所 昭和25年(う)1586号 判決 1950年12月23日

被告人

守山寬一郎

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役参年に処する。

本裁判確定の日から参年間右刑の執行を猶予する。

押収に係る手斧(検乙第一号)出刃庖丁(検乙第二号)は之を没収する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

玉置弁護人の控訴理由第二点について。

弁護人は原審が守山(村尾)艶子に対する副検事の供述調書を証拠に採用したのは違法であると主張するけれども同調書は刑事訴訟法第三百二十一条第一項の「被告人以外の者の供述を録取した書面で供述者の署名」があり且つ同項第二号の「検察官の面前における供述を録取した書面」である。而して記録によれば公判準備のため検証現場においてなされた原審裁判所の同人に対する証人尋問調書とその内容が実質的に異なつておるのである。しかも右尋問は今や父が殺人犯人として起訴せられた後においてその犯行現場で且つ父の面前でなされているのである。子は父のためにかくすことは人情の自然である。かかる情況の下に証人から真実の供述が求められると考える弁護人の所論は皮相の見解である。むしろ犯行直後検査官が静かに右証人を只一人取調べ証人をいたわりつゝ被害者となつた母に対する証人の愛情に訴えてその供述を求めた本件供述調書こそ真実を語れるものであり、同号の「公判準備における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況存するとき」に該当するものと言わねばならない。

(註、 本件は量刑不当により破棄自判)

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